第9章
テスト
小さな箱にも、こわいものは入る。
翌朝、スマッジとビスケットはベッドの上にだらりと寝そべり、ふたりそろって考え深げに天井を見つめていた。
その見つめ方からすると、頭の中では何か重要なことが起きているようだった。重大で、重みがあって、ひょっとすると世界を変えるほどのこと。偉大な決断を生み、運命を形作り、歴史を築くような、深く集中した思考である。
スマッジは眉間にしわを寄せた。ビスケットも、犬がものすごく集中するときのやり方で眉間にしわを寄せた。
「朝ごはん、ソーセージだといいな」ようやくスマッジが言った。
ビスケットはしっぽを振った。それなら大いに結構、と言っているようだった。
ふたりはもう一度静かになり、どんなソーセージがいいかを真剣に考えた。スマッジは太めのポークソーセージで、端が少しだけカリッとしているものが好きだった。ビスケットのほうは、好みにうるさくない。すべてのソーセージを平等に愛していた。
ソーセージについての沈黙が、しばらく続いた。
そこへ、ゆっくり、きっちりとしたノックの音がした。
もう一度。そして三度目。しっかりした三回の音が、きっちり同じ間をあけて響いた。
スマッジとビスケットは固まった。顔を見合わせ、それからドアを見た。
「出てよ」とスマッジ。
ビスケットは、どう見ても「スマッジが出ろ」と身ぶりで返した。
ふたりはさらに二秒ほど、ドアを見つめた。
「どうぞ!」スマッジが呼んだ。
「ワン!」ビスケットも付け加えた。
ドアがきしみ、テザーが入ってきた。
スマッジはすぐに、何かあると感じた。テザーは昨日よりさらに静かで、ずっと真剣だった。
まったく笑っていなかった。わきには、小さくて飾りのない箱を抱えていた。薄く平たく、箱というよりケースに近い。
「よく眠れた?」ようやくテザーが聞いた。
スマッジとビスケットはうなずいた。
テザーも小さくうなずき、ゆっくり部屋を横切った。ケースを小さなテーブルへ注意深く置き、ふたりの向かいに座った。
「それで」と言った。「きみたちは、シンメトリーの聖域へ行きたい」
質問ではなかったが、スマッジは答えた。
「うん」少し背筋を伸ばして言った。
「よろしい。自分が何を求めているかは、わかっている。求めるものがわかっているなら、私は手伝える」
スマッジの顔がすぐに明るくなった。ビスケットのしっぽも振れ始めた。
「ただし」テザーは静かに付け足した。「それを証明できればね」
「何を証明するの?」
「本当にほしいということ。本当に、本当にほしいということ」
スマッジは目をぱちぱちさせた。「今、ほしいって言ったよ」
「そうだね」テザーは落ち着いて答え、ケースの上へ軽く手を置いた。「でも、言葉は簡単だ」
スマッジは眉をひそめた。ビスケットのしっぽがゆっくりになった。
「本当にほしいんだ」スマッジはもう一度言い張った。
ビスケットも、力強い「ワン!」で主張を支えた。
テザーは、まじめな顔でもう一度うなずいた。「なら、これは簡単だ」ケースをふたりのほうへ静かに押した。「靴下を脱いで」
スマッジは止まった。「え……何て?」
「靴下を脱ぐ。楽に座る。足を上げる」
ビスケットは首をかしげた。スマッジの眉間のしわは、さらに深くなった。さっぱりわからない。
「箱の中には何が入ってるの?」
テザーは答えなかった。ケースをふたりへ向け、注意深く開いた。
スマッジが見た。ビスケットも見た。ふたりで見た。
中には羽根が一本、入っていた。
どこから見ても、ごく普通の羽根だった。
スマッジの顔から血の気が引いた。
「まさか」と言った。
テザーは羽根を取り上げ、二本の指で軽くつまんだ。
「そんなことできないよ」スマッジは言った。「いや、その、ほかの方法があるはずだ。何でもいい。別のことをする。何かに登る。何かを飛び越える。ぼくは——ビスケット、ちょっと助けて——」
ビスケットはとっくにスマッジを見捨て、クッションの後ろに隠れていた。
テザーの顔に、小さないたずらっぽい笑みが浮かんだ。
「これは」と言った。「くすぐりテストだ」
